Vol.13 内三合 内なるエネルギーの秘密(その四)
今回は、内三合の「心意」特に「意」について形意拳(※1)の考え方を中心にお話をしよう。形意拳という門派では、究極の状態を次のように表現している。「拳無拳、意無意、無意之中是真意」略して「無拳無意」といい、本来「形」があって無いようなものである。無であるが故にあらゆる事象、すなわち有に対処し、打ち破ることができる。これを無意の中にこそ真意がある、という。無意とは無為(※2)にも通じる自然の状態。私たちの体は、特に意識しなくても熱い鍋やアイロンに直接手が触れると反射的に手を引っ込めてしまう「脊髄反射」を備えている。さらに「火事場の馬鹿力」。家が火事になった時に、普段は非力と思われている人が家にあった重たい家具を抱えたまま脱出したという逸話から転じて、「とんでもなく追いつめられると本来無いほどのパワーを発揮する」という意味である。