中国武学への道

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Vol.40 外三合 三節 番外編(その2)

1) 三才 天地人 (天→地→人) 時間系列 大宇宙に対して小宇宙としての存在が人間であるというのが「天人合一思想」である。混沌とした宇宙から天が生まれ次に地ができた。天(陽)と地(陰)が和合し人(半陰半陽)が生まれた。天→地→人の時間系列の順番で「天地人」の三才としている。大自然の中で人間は弱い存在で、災害や天候の影響を受けてきたため自然に対する畏敬の念が強かった。西洋では人という存在が自然と対立して自らの力で「生きている」という考え方が基本であったが、中国では大自然の懐のなかで「生かされている」という考えに至った。ちなみに日本では四季折々の自然の恵みが豊かで、人が自然の中で育まれているという考えを持っていいたため中国の考え方を自然な感覚で受け止めた。
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Vol.39 外三合 三節 番外編(その1)

中国では「三」に限らず符牒として数字にさまざまな意味を与えてきた。 三才以外にも五行・八卦など数字を通した物事のとらえ方や世界観は、中国医学・芸術・文学・占星術だけでなく生活のすみずみまで影響を見ることができる。中国武術も例外ではない。 符牒 0:無極 1:一気 2:両義 3:三才 4:四象 5:五行 6:六合 7:七星 8:八卦 9:九星 10:十韋 ここでは、0(無極)から一(一氣)、二(両儀)、三(三才)という0~3まで、特に「三」に焦点をあててみよう。
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Vol.38 外三合 エネルギーの統一 閑話

中国武術の歴史は長く、民族も多様な中で独特な発展を遂げた。技術的にも私達日本人とは異なる文化の中で育まれた興味深いものが多く、高度な体系を持っている。武術における技法の原理を学ぶことは興味深く楽しく感じられることも多い。原理を解き明かすことや究極の技術を楽しむことは、修行者の特権ともいえる。しかし、武術を志す者の最も大切にすべきことは実践することで、現実に即した対応であることを忘れてはならない。興味を引く技術や楽しみに安住して、実践するための具体的技術から現実逃避しないよう心がけることが大切である。
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Vol.37 外三合 エネルギーの統一 三尖相照(後編)

「三尖を相照らす」とは、三つの尖端を揃えることにより力の集中をもたらすことである。この三尖相照の効用を陽(攻撃面)と陰(防御面)の陰陽思想からみることができる。 三尖相照は、攻撃の極まる到達点である。全身のエネルギーの統一する瞬間のポイントを指す。逆に分散して腕の力だけで打つ事を俗に「手打ち」という。 太陽光のエネルギーを虫眼鏡を使い角度と方向そして距離を合わせることによって一点に集中することができる。平行な太陽の光を凸レンズで集めると、焦点に置いた紙が黒く焦げ始めついには発火する。同様の原理で火災が発生することを収斂火災(しゅうれんかさい)と呼ぶ。
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Vol.36 外三合 エネルギーの統一 三尖相照(前編)

末節は、一般的に「枝葉末節」として、些細な重要ではないこととして用いられる。末節にとらわれることを本末転倒などといい、根本や本質を見極めて邁進することが最も大切である。しかし私は前回、根節と末節の両面からアプローチすることが大切であるとお話しした。今回は根本となる根節の部分はひとまず横に置き、末節の重要性から先にテーマにしてみたい。 三幹九節=三節(根節・中節・末節)の中で末節を整える要領を三尖相照と中国武術では伝えている。いくら根本の身体操作がしっかりしていても、相手に到達する前に尖端の角度がわずかにズレてしまうだけで結果が異なる例として刀剣や弓矢を挙げてみたい。
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Vol.35 外三合 エネルギーの統一 「三幹九節」

「形」を整えることによって外三合と対(つい)となる内三合の心・意・気を支える容器(器=形)とすることができる。外面としての器を整えることによって、心・意・気は安定し自然に集中状態へと向かう助けとなる。そのためにも器の形が大変重要な意味を持つ。外三合は手足・肘膝・肩胯の関節の関係を指しているが、六合と関係の深い「三幹九節」という口訣を併せて観ることによって外三合の理解を深めていきたい。
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Vol.34 外三合 エネルギーの統一 「三歩の工夫」

さまざまな見方はあるが、私は「形」と「勢」こそ勁を解き明かす本質であると考えている。そういった意味で外三合は勁を構成する要素のひとつだ。外三合の原文を紹介したい。「外三合指,手與足合,肘與膝合,肩與胯合」
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Vol.33 外三合 過渡勢と定式 (後編)

前回は、孫子・勢編の一節より前半の「勢」に注目した。今回は後半の「節」や「機」に焦点をあてよう。「節」とは、相手を一撃で打ち砕く絶妙のタイミング(機)である。
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Vol.32 外三合 過渡勢と定式 (中編)

形勢不利や形勢逆転というように形と勢は密接な関係がある。日本人にとって「風林火山」でもよく知られる兵法書『孫子』でも形と勢を重要視している。孫子は、兵法の観点から激流の水を「勢」であると観た。私は、太極拳の観点から渦(うず潮や竜巻)を「勢」のイメージの一つとしている。
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Vol.31 外三合 過渡勢と定式(前編)

過渡式は前の技法の定式から始まり、技法が極まった瞬間を定式という。過渡式には陰陽があり、過渡式A:前半【陰】と過渡式B:後半【陽】、攻防上では防御と攻撃に分類することができる。一つの技法の中で剛柔・快慢・鬆発・緩急・蓄発の陰陽を指している。陰陽の分類はあくまでも基本的原理や概念なので過渡式Aで柔や慢が過渡式Bで剛や快に変化するわけではない
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