中国武術への道(旧)

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Vol.16 内三合 番外編 Don’t think. FEEL!

今回は映画「燃えよドラゴン」のワンシーンをテーマに取り上げてみたい。主演は、ブルース・リー(Bruce Lee)(1940~1973)(以下・李小龍)。1973年、映画「燃えよドラゴン」(原題:ENTER THE DRAGON 龍争虎闘)がアメリカを皮切りに世界中で大ヒット。その後、始まるカンフーブームを巻き起こした。
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Vol.15 内三合 内なるエネルギーの秘密(その六)

『気』とは何か?まずは、言葉の上から『気』を紐解いてみよう。中国や日本において『気』は様々なとらえ方をされている。日本においては、病は『気』からというように、『気』と「心」は分かちがたい概念ととらえ、『気』と心の在り方を合わせて表現されている。皆さんも日本語の心や感情を表す『気』に関する言葉を想起してみていただきたい。「気になる」、「気が合う」、「気が散る」、「気の毒」等、十や二十はすぐに思い浮かべることができると思う。
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Vol.14 内三合 内なるエネルギーの秘密(その五)

『気』とは何か?まずは、言葉の上から『気』を紐解いてみよう。中国や日本において『気』は様々なとらえ方をされている。日本においては、病は『気』からというように、『気』と「心」は分かちがたい概念ととらえ、『気』と心の在り方を合わせて表現されている。皆さんも日本語の心や感情を表す『気』に関する言葉を想起してみていただきたい。「気になる」、「気が合う」、「気が散る」、「気の毒」等、十や二十はすぐに思い浮かべることができると思う。
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Vol.13 内三合 内なるエネルギーの秘密(その四)

今回は、内三合の「心意」特に「意」について形意拳(※1)の考え方を中心にお話をしよう。形意拳という門派では、究極の状態を次のように表現している。「拳無拳、意無意、無意之中是真意」略して「無拳無意」といい、本来「形」があって無いようなものである。無であるが故にあらゆる事象、すなわち有に対処し、打ち破ることができる。これを無意の中にこそ真意がある、という。無意とは無為(※2)にも通じる自然の状態。私たちの体は、特に意識しなくても熱い鍋やアイロンに直接手が触れると反射的に手を引っ込めてしまう「脊髄反射」を備えている。さらに「火事場の馬鹿力」。家が火事になった時に、普段は非力と思われている人が家にあった重たい家具を抱えたまま脱出したという逸話から転じて、「とんでもなく追いつめられると本来無いほどのパワーを発揮する」という意味である。
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Vol.12 内三合 内なるエネルギーの秘密(その三)

中国武術においては内なるエネルギーの関係を「内三合(ないさんごう)」といい、「内三合とは『心と意』『意と気』『気と力』が一致する事である」。内面の統一を指す内三合と外面の統一を指す外三合を併せて六合(※1)という。今回は「意」を中心に「心と意」「意と気」の関係をお話ししよう。「心」というのは、手に持ったお盆の上に置いたボールのようにコロコロ動いてつかみどころがない。皆さんも、明日やるべきことを考えていたら、いつの間にか晩御飯は何がいいかな、旅行をどうしようとか、考えていることがとりとめなく変わり、気づいたら肝心なことが何一つ決まっていなかったという経験はないだろうか。「意」は、このような移ろいやすく断続的でとりとめのない「心」に方向性を与えるものだと考えられる。
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Vol.11 内三合 内なるエネルギーの秘密(その二)

太極拳にとどまらず中国武術では六合という非常に重要なキーワードがある。外面の統合を外三合。内面の心・意・気の統合を内三合という。外三合と内三合を合わせて六合となる。手足をはじめとする身体の操作が本当の力を発揮するには、内面のエネルギーとの関係こそが核心であると捉えたのだ。今回のテーマ、内なるエネルギー「心」「意」「気」という相互の関係について『陳氏太極拳図説』、原書名は『陳氏太極拳図画講義』、以後『図説』(※①)では、運動氣機図により説明している。下の図を観ていただきたい。当時の武人らしく、「心を将軍」、「意を伝令」、「丹田を駐屯所」と、軍隊の組織になぞらえて表現している
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Vol.10 内三合 内なるエネルギーの秘密(その一)

皆さんは、「心意気(こころいき)」という言葉をどのような意味にとらえるだろうか?「上司に私の心意気を伝えた」とか、「その心意気やよし」「あの人の言動にとても心意気を感じる」というように前向き・積極的・気概など、意志の強さや、自分自身の気持ちを奮い立たせるポジティブな言葉として使うと思う。私たちの使う日本語では、「心意気」は「心」と「意気」からなる熟語として説明される。意志や感情をつかさどる「心」と、目的・目標を達成し、やり遂げようとする強い気持ちや考えを「意気」と表している。日本語の場合、感情をつかさどる「心」と「意」そして「気」の境界線はあいまいだ。
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Vol.9 太極拳と易 番外編

「太極拳と易」という前・中・後編では、太極拳との関連を易の本質としての「変化」を中心に「循環」するエネルギー(勢)にスポットを当ててお話しした。易や太極思想の核心部分である「陰陽」「五行」「八卦」については、改めて別の機会を持ちたいと考えている。今回は番外編として太極拳と直接の関係はないが、易の理解をより深めるために二人の日本人のエピソードを紹介しよう。一人目は、易経を学んだ広島の先人である頼山陽(らい・さんよう)。二人目は、易の本質である「変化」を体得した上で、「居着く」ことの危険性を説いた剣豪・宮本武蔵だ。
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Vol.8 太極拳と易(後編)

易において太極は、宇宙の根源として重要な概念である。「太極者,無極而生,陰陽之母也」(※)訳すと、太極は無極から生まれ、陰陽の母(元)である。太極は、その存在の前に無極から生まれたとされている。別な解釈では、「無極而太極」(無極にして太極)と言いこの場合、上記左の無極図を無極太極図、右図を無極太極陰陽図あるいは陰陽太極図(太極陰陽図)などと呼び方もさまざまだ。別な太極図②も併せて紹介しよう。無極との関係を来氏太極図(※)で観ていただきたい。円図(圓圖)とも呼ばれる。円環状に描かれた内円中の空洞が太極(無極太極図)を表し、円環の外円内の黒白の色が陰陽両儀を表す。
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Vol.7 太極拳と易(中編)

太極拳の特徴とは何だろうか?数ある中国武術の門派の中で太極拳と名付けられるに至ったこの門派の特徴をみてみよう。太極拳の動作は、「如長江大河,滔滔不断」。「長江(揚子江)大河の如し、滔滔(とうとう)として絶えず」と言われる。太極拳を演武する時、手はあたかも「糸を紡ぐが如く」、足の動きは「停まるに似て停まるにあらず」、綿々不断として留まることがない。このようにひとつの動作から次の動作につながるときに止まったり、途切れたりしない動作の要領を「相連不断」あるいは「連綿不断」と表現した。
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